朝7時に起きる。コーヒーをいれる。はくろんが終わったことによりこの数日、毎朝自分がその日何をしたらいいのかがわからないまま5時間くらい経過し、まだわからないので適当に過ごすということになってしまいがちである。うれしいけれど困ってもいる。
今日はまず∀xFxは∃xFxを含意すると思うとツイッターで言っていたら、ドメインが空のときは前件は真で後件は偽なので、含意しないのではないかと教えてもらって、ドメインが空のときの処理を知らなかったので勉強になった（追記の注：すみません！ しかし最初にリプライしてくれた方は以下の戸田山本でのような話を念頭に置いていたということでした。とはいえドメインを非空としないとき「∀xFx→∃xFx」が論理的真理でないということ自体は正しいようです）。知り合いのロジシャンにラインして聞いてみたところ、その処理は正しいけれどしかしドメインは普通は非空で定義するということも教えてもらった。手元の論理学入門書を3冊見たらたしかにどれもドメインは非空にするのだと書いてあった。最初の人にそれを言ってみた。
続いて、今日のわたしは「読みたい本や読みかけの本を読む、授業準備をさらに進める、書きかけの原稿を書く、溜めまくっているドラマを見る」のどれをすればいいかがわからないとツイッターに書いていたら、友達からあみだくじで決めることを提案され、厳正なくじの結果、読書をすることになった。
読みたい本と読みかけの本をまず机に並べると8冊あり、そのうち1冊を選んだ。イ・ヨンド『ドラゴンラージャ』第1巻（岩崎書店、2005年）。小さい頃読んで以来ずっと好きなシリーズで、読むのは何度目かわからないくらい。
少し読んでいたらツイッターで返信があり、戸田山和久『論理学をつくる』（名古屋大学出版会、2000年）の6.3.2に近い話が（追記の注：リプライしてくれた方の念頭に置いていたことと近い話が）あることを教えてもらった。読んでみると興味深い議論だった。例を変えるが以下の議論のどこがおかしいかという話を含むものとしてわたしは受け取った。（追記の注：完全にわたしがそう受け取ったというだけです。わたしは完全に非専門家なので、こうした理解自体正しくない可能性が全然あります。）
パンダはみんな白黒だ。したがって白黒のパンダが少なくとも1頭存在する。
これは正しそうだ。では同様に
この話を知らなかったらわたしはどこが変なのか説明できなかっただろう。
たぶん変なところは少なくとも一つ。
その一つは、「パンダはみんな白黒だ。したがって白黒のパンダが少なくとも1頭存在する」という論証はパンダが存在しないかもしれないときには——つまりパンダドメインが空であってよいときには、あるいは述語「パンダだ」に空集合が割り当てられてよいときには——妥当な論証ではないということだ。
妥当な論証にするための方法は少なくとも二つ。例はパンダからピカチュウのほうに変える。
∀x（xは黄色い）
したがって
∃x（xは黄色い）
と書くこと。このときドメインは非空だと定義する。
もう一つはドメインをたとえば存在者全体とし
∃x（xはピカチュウだ）
∀x（xはピカチュウだ→xは黄色い）
したがって
∃x（xはピカチュウだ∧xは黄色い）
と書くこと。
ただし気になるのは前者だ。
後者はドメインが存在者全体だから、結論のさらなる帰結である「∃x（xはピカチュウだ）」を「ピカチュウは存在する」という意味に取るのは問題ないと思う。
しかし前者の結論から「ピカチュウは存在する」が出てくるのだと考えていいのだろうか。ドメインがピカチュウ全体でありかつ非空であるということは、ピカチュウが存在するということを含意するのだろうか。たとえば私たちがドメインをピカチュウ全体でありかつ非空だとしつつ「∃x（xはサトシの相棒だ）」が真だと考えるとき、私たちは別にサトシのピカチュウが存在するとは思っていないはずだ。あるいはドメインを架空の生物全体でありかつ非空だとしつつ私たちがペガサスやユニコーンを念頭に置いて「∃x（xは4本足だ）」が真だと考えるとき、私たちはペガサスやユニコーンなどの4本足の架空の生物が存在するとは思っていないはずだ。なんといってもいまドメインは架空の生物全体なのだから。
普通に多義性の誤謬？
こういう話ってどういう本を読んだらいいの？
今度詳しい人に教えてもらおう。
*1:ラーメンズ『TEXT』より「不透明な会話」 https://youtu.be/IaBDGFGNYK0?si=8VtNSD9DSzkcF3ky @YouTubeより
